同じ夜に二人が見た祖母の帰宅
どんな伝承か
昭和五十四年十二月十五日のこと。健脚が自慢だった妻の祖母が、はずみで大腿骨を折って入院した。薬嫌いのため投薬で胃腸を痛め、食欲も落ちていた。入院から二週間ほど経った朝、妻のすぐ上の姉は、階段を降りていくと表の扉から祖母が入ってくる夢を見た。もう治って病院から一人で歩いて帰ったのだと祖母は言う。隣で寝ていた義兄の千蔵も、階段の下で祖母の声を聞いて目を覚ましており、階段はまだきついと言う声まで同じだった。二人が夢の一致に呆れていると、まもなく病院から祖母の死を告げる電話が入った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。