肥えた烏が知らせた死
どんな伝承か
昭和五十六年十一月のこと。寝苦しく一晩じゅううとうとしていた語り手は、明け方四時半ごろに夢を見た。部屋の天窓から外を眺めていると、西荻窪の方角から豚のように大きく肥えたカラスがベランダへ飛んできて、こちらを見て鳴く。妙なカラスだと思ったところで目が覚めた。七時ごろ、義妹から電話があり、西荻窪に住む義妹の父が亡くなったと知らされた。恰幅のよい太った人だったので、あの肥えたカラスは義妹の父だったのだと合点がいったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。