新屋敷
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どんな伝承か
昭和七年、私は女学校の四年生で、熊本市新屋敷の寄宿舎にいた。ある夜、父危篤の報せに接したが、五十年前の当時は夜になると帰る乗物もなかった。一晩じゅうまんじりともせず、真夜中にとろとろとまどろんだとき、着物に袴姿の父が縁側に坐っているのが見えた。「あれっ、今、一番電車で帰ろうとしているのに」とはっとして父のもとへ行こうとすると、父の姿はだんだん遠くへ行ってしまった。翌朝、家へ帰り着いたとき、父はもうこの世の人ではなかった。息を引き取ったのは、私が父の姿を見た頃だったという。以来、私は霊の存在を信じるようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考・昭和50年代~60年代(推定))
松谷みよ子『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』を小話単位で全513話収録。夢のお告げ・予知夢、火の玉、ぬけ出した魂(離魂)など、心と生死の境にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明482話・市区町村判明386話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。
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