白い着物で帰った叔父の夢
どんな伝承か
昭和十四年ごろ、語り手が小学一年生ほどの時分の話。同居していた母の弟は大学を出たばかりで出征し、北満へ渡っていた。ある晩、玄関に人の気配を感じて出てみると、その叔父が白い着物姿で帰って来ていた。驚いて母を呼んだところで目が覚め、夢だと分かったが、母もちょうど同じ時刻に同じ夢を見ていたという。恐ろしいという感じはなく、懐かしい思い出として残った。叔父がノモンハンで戦死したと知らされたのは、それよりずっと後のことである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。