一個中隊を連れて帰った息子の魂
どんな伝承か
昭和十九年九月十五日の晩。岡山県真庭郡落合町栗原(現・真庭市栗原)の三浦志げ代は、熱が出て九時頃に寝た。夢の中で、戦死した息子・覚の勉強部屋だった小さな二階が賑やかになった。娘のちとせに「覚が夕飯を食べていないから呼んで食べさせてやってくれ」と言うと、覚は「一人ではない、一個中隊来ているから大勢だ、飯の用意をしてから呼びに来てくれ」と言う。二階へ上がると覚は筵の上に座り、窓からすうっと出ていった。全滅した戦友の魂もみな連れて来ていたのだろうという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。