黒伏山の行人が夢に授かった甘露水
どんな伝承か
東根市の黒伏山で行人をつとめ、黒伏山神社に仕える人として世に敬われた田畑琳璇が語った話。参拝者四人を連れて火原の小屋に泊まった夜、白いあごひげを垂らした白髪の老人が瓶を二本提げて立っていた。琳璇がその御神酒を飲ませてくれと頼むと、老人はこれは天から下った甘露水で、飲めば百五十歳まで生きるのだと答えた。それなら寿命の薬だとぜひ頂きたいと願って口にすると、何とも言えずうまかったが、そこで目が覚めた。翌日、荒神の神社の前へ行くと老人の姿はなく、御神酒が二本供えられていた。琳璇はこれこそ大神から戴いた甘露水だと喜び、一本を自ら戴き、もう一本を参拝者に飲ませ、自分は百五十歳、お前たちは九十歳まで長生きできると言い聞かせたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考・昭和50年代~60年代(推定))
松谷みよ子『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』を小話単位で全513話収録。夢のお告げ・予知夢、火の玉、ぬけ出した魂(離魂)など、心と生死の境にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明482話・市区町村判明386話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。