法然上人が告げた六月一日の迎え
どんな伝承か
大阪府大阪市、昭和四十年か四十一年のこと。語り手の母が、子宮癌で入院していた叔母の付き添いをしたときの話である。母は親類のおばさん(母の義理の叔母)と二人で付き添っていたが、眠っていた叔母がぱっと目を開けてこう言ったという。今、ぱーっと後光がさしてきて法然上人の顔が浮かんできて、まだあんたが来るのは早い、六月一日に迎えにきたる、と言った、と。そして二、三日後の六月一日に、叔母は本当に亡くなった。六月一日は語り手の父の誕生日にあたるため記憶違いはないという。本当に自分の耳で聞いた事だから不思議だと、今も母は親類のおばさんと話すそうである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。