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大観銭を残らず納めた馬喰の願

所在地東京都中野区
年代応永年間(約五百年前)
登場鈴木九郎
出典城西風土記と昔語り

どんな伝承か

応永のころ、諸国を流浪したのち武蔵野の中野の里に住みついた鈴木九郎は、馬喰を業としていた。あるとき痩せた馬を曳いて葛西の馬市へ向かう途中、浅草の観世音に、この馬が高く売れるように、そしてもし代金の中に大観銭があればそれを奉納しますと願をかけた。馬は一貫文で売れたが、受け取った銭を調べると、なんとその全部が大観銭だった。九郎は神仏をだますことはできないとして、代金をそっくり観世音に納めてしまった。その御利益であろうか、以後は運が開け、長者と呼ばれる身分になったと伝えられる。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

城西風土記と昔語り(熊沢宗一・1959年(昭和34年))

『城西風土記と昔語り』は、東京中野の江古田に住んだ熊沢宗一が昭和三十四年に著し、自ら発行した郷土誌である。中野長者と淀橋の伝説、御犬小屋や桃園の旧跡、新井薬師、江古田の獅子舞、内藤新宿や高田馬場の昔語りなど、中野と近在の伝説・旧跡・寺社を、古文書や碑文、琵琶歌も交えて記す。全二十章の後半には著者の百姓時代や終戦直後の食糧事情、台風の被害、日露戦争の軍隊日誌を収め、巻末に著者略歴を付す。

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