女夫岩の蛇と黄金の橋
どんな伝承か
大野郡野向村の薬師神谷に、女夫岩という岩がある。高さは一丈、周りは十五間ほどで、川を隔てた向かいには弁財天を祀る岩がある。女夫岩の割れ目からのぞくと、小さな模様のある蛇の胴が見えたという。昔ここには雌雄二匹の蛇がいたが、ある農夫が一匹を殺したところ、家へ帰ってから急に病みつき、そのまま死んでしまった。残った一匹は、ひと月の前半を女夫岩で、後半を弁財天の岩で過ごし、移る時には黄金の橋が架かる。それを目にした者には福が訪れると伝えられている。
原典より
その昔、雌雄二匹の蛇がゐたのであるが、ある農夫が、一匹殺してから、家に歸つて來て急に病みついて死んでしまった。—— 福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年))
『福井縣鄕土誌 民間傳承篇』は、福井市立実科高等女学校の郷土誌第二輯として教諭中塩清之助が編み、昭和十四年二月付の学校長金岡正孝の序を巻頭に置く。丹生郡の名、哭女、越前萬歳、仏の舞、幸若舞、猫塚、隠れ里、子育て幽霊、愛発の関、弁慶譚、八百比丘尼、水の神女譚を、古文献や他地方の類例と照らして論じる。生徒が集めた県下の昔話は類話をA・Bなどに分けて並べて解説を付し、校正者大村四朗の跋を添える。