根岸の御行の松と彰義隊の埋蔵金
どんな伝承か
根岸は上野の山の北の麓にあたり、古くから閑静で風流人や文人が多く住んだ。応永六年の古文書には豊島郡小具郷の江戸金曽木と見え、小具は今の尾久、金曽木は金杉のことだろうという。北を流れる用水は蛍の名所で蛍沢とも呼ばれ、近くの鶯谷は輪王寺の宮が京から取り寄せた鶯を放った所と伝わる。中根岸には御行の松という高さ七メートルほどの老松があり、彰義隊がこの松を目印に幕府の軍用金を近くに埋め、その大金は今も地下に眠っていると言われる。今は人家が建て込んで場所は分からない。この一帯は彰義隊の戦では戦場の内にあり、会津へ落ちる道でもあった。
原典より
また中根岸には彰義隊が幕府の軍用金を隠したという「御行の松」というのがあった。—— 江戸動物民話物語(窪田明治) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸動物民話物語(窪田明治)
『江戸動物民話物語』は、「郷土史・東京」の刊行会を主宰した窪田明治が、東京の郷土史を調べた材料から江戸の民話を選んでまとめた本である。狐や狸、猫、蛇が人を化かし、恩を返し、祟る話を中心に、本郷・王子・向島・麻布・三田など東京各地に伝わる話を収める。狐・狸・猫・蛇・不思議な生き物の五部に分け、一話ごとに舞台となった土地の史跡や寺社の由来、沿革の解説を添え、まえがきとあとがきを付す。