榎に籠もる討死の武士としめ縄
どんな伝承か
城島公民館の前に、樹齢数百年と思われる榎の大木がある。なかば朽ちて枯れる寸前である。木下氏は若い頃から健康に自信があったが、近ごろ肩が凝り背中が張って眠れず、うとうとすると誰かに肩を押さえられる感じがして目が覚めた。善照寺の上人に尋ねると、榎の中から血だらけの鎧兜の武士が現れ、落城の折に討死した者だから供養してほしいと頼んだという。この地は城島城の隅櫓跡で、肥前から攻めてきた龍造寺軍との激戦場だったかもしれず、負け戦では供養もされていまいと思い、経をあげてもらうと肩も背中も嘘のように楽になった。以来、上人と相談して榎にしめ縄をかけたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。