伊勢参りで世話を焼いた総墓の松
どんな伝承か
秋田県河辺郡雄和町水無に「伊勢参りの松」とよばれる古木がある。あるとき秋田近郊の人たちが伊勢参りに出かけると、途中から品のよい白髭の老人が一緒になり、実によく世話を焼いてくれた。皆はじめての伊勢参りで不安だったので大いに喜んだ。無事に参拝を終えて別れる際、礼がしたいと名を尋ねると、老人は「水無の松右衛門という」といって去った。春になり一同が酒肴を携えて水無を訪ねたが、松右衛門の家を知る者はいない。伊藤家の当主になる人が、総墓の松が去年の秋から色が悪くなり、一〇日ほどして元気になったと語り、皆はあの松の精だと納得して、松のそばで酒宴を開き感謝して帰ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)