大師が茶にしたという又旅の木
どんな伝承か
学名は分からないが、杣の人たちが「又旅の木」と呼ぶ落葉広葉樹がある。亜熱帯性の木なのか、深山ではあまり見られず、おおむね海岸近くの暖かい山に自生する。杣たちの話では、昔、弘法大師が諸国を行脚していたとき、茶の葉がないのでこの木の小枝を折り取り、焚火にかざして葉を少し炒り、茶がわりに飲んだところ絶妙の味だった。忘れずに次の旅でも茶の葉にしようと言ったことから、又旅という名になったという。今も杣たちは茶の葉のかわりに使うことがあるそうである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。