入営に植えた柳を枯らした父
どんな伝承か
昭和の話である。兵隊に行った息子が国のために軍務にはげみ、戦死するようにと祈り、無事に帰るようにはあまり願わないようであった。入営するときには親が必ず柳を植えるのが、当地方の習慣であった。昭和一五年に入営して大陸へ渡るとき、庭に柳を植えたが、病気のために内地へ帰され、あまり役に立たず現役免除で帰った。その後、柳は意気天を突く勢いで栄えたが、いつの間にか姿を消した。おそらく名誉の戦死をしなかったのを恥じて、父が枯死させたのだろう。当時の入営者は戦死を願い、生きて帰るとは夢にも思わなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)