暮坂峠の見返りの松と出征の見送り
どんな伝承か
六合村には昔からの言い伝えが残っている。いつの頃か戦に出かけた若者たちのうち、大晦日に帰ってきた者は正月用の門松を立てることができ、その人たちを「暮れの山本」という。年末に帰れなかった者は門松の代わりに、村の境にある暮坂峠へ一本の松を植えた。その人たちを「明けの山本」という。六合村には山本という家が多く、今も明けと暮れに分かれている。日清・日露の戦争のときも、第二次世界大戦のときも、村人は昔の言い伝えを生かし、松の生える暮坂峠まで出征兵士を見送った。必ず村に帰ってくると信じてのことで、出征兵士はこの峠の松を「見返りの松」と心の中で呼んでいた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)