「下手植え」と笑われて枯れた松
どんな伝承か
昭和九年頃、七日市藩主の末裔にあたる前田利定が逓信大臣に出世し、祝いのため郷里へ帰った。祝いのあと利定は前田家の菩提寺である永心寺に参り、先祖の墓の前へ記念の松を植えた。住職は誇らしげに「前田閣下手植えの松」と立て札を立てたが、「お手植え」とすべきところを「手植え」と書いたため、続けて読むと「前田カク、ヘタ植えの松」と読めた。町の人々は下手植えだからすぐ枯れると笑い、松は本当に赤くなって枯れてしまったという。寺は似た松を探して植えかえ、今度は「お手植えの松」と書いた。その松は葉が三本ある珍しい松で、開運の松と呼ばれる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)