材木屋をかついだ二尺の杉千本
どんな伝承か
洋さんが材木屋へ行き、自分の持つ秩父の山に二尺もある杉が千本植わっているが、急に金が要るので一本一円で売ると持ちかけた。材木屋は直径二尺の杉なら一本五円はすると踏み、安いと思って手金百円を打ち、山見に出かけた。ところが山に着いてみると、生えているのは高さ二尺ほどの植えたての苗ばかりだった。直径二尺の杉山はどこにあるのかと問うと、洋さんは腹をかかえて笑い、二尺とは言ったが直径とは言っていない、高さのことだと答えた。材木屋はかんかんに怒りながら、しかたなく東京へ帰っていったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。