谷を渡る大蛇を見て表口で絶命
どんな伝承か
高見村の伊豆尾の人で、昔の人だという。鷲家へ用があって買い物に出て、夕方、帰る途中でふと向こうのほうを見た。滝の口の音は今でも聞こえるところである。すると、こちらの口から向こうの口へ、大きな大蛇が空を切るように首を伸ばして渡っていくのを見てしまった。その伊豆尾の人は家に帰り着き、表口をまたぐかまたがぬかのうちに死んだという。ああいうものは見るものではないのだが、偶然に見てしまったのは仕方がない、そんな話を聞いたと語り手は言う。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。