流木と思って乗った大蛇
どんな伝承か
明治四三年に入間川が氾濫した。向こうの土手とこちらの土手がもういっぱいになって、まるで海のようであった。切れたら大変だと大騒ぎになり、下の方の川越のあたりで切れたと聞いた時はほっとしたという。丸太も家も家財道具もごろごろ流れてきた。そのとき木揚げをした。昔のことでガスも石油も使わない時分だから、薪揚げである。皆が命がけで、長い竹の先に鎌を付けて引っ掛け、丸太をずり上げて山のように積んだ。ある人が、秋の暖かい時期だからと裸になり、大きいのが来たので松の木だと思い、腰に縄をつけて乗り、ずり寄せにかかった。ところが流れてきた木は蛇で、背中に乗られた蛇が頭をもたげた。その人は命を落としたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)