金有沢で向かってきた六尺のナメラ
どんな伝承か
話者が二十歳ごろ、土用に入って干し草を刈る時期のこと。四、五人で金有沢というところへ草刈りに出かけ、昼食のあとキリギリスの声を追って一人で離れると蛇が現れた。後ろへ引けば追ってきて、前へ出れば向かってくる。音を立てて息を吹きかけ、三尺ほども身を立てて猫の子が威嚇するような構えを見せた。手に負えず仲間を呼ぶと蛇は松に登ったので、直おんつぁまという人が鎌で断ち切った。それでも蛇はまた話者の方へ寄ってきて、切られた部分が平たくつぶれて細っていった。長さ六尺ほどもある大きなナメラで、生かしておけないと皆で切り刻んだ。蛇を避けると祟られるが、喉笛に木を突き刺せば祟られないと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。