鉈の刃が欠けるまで刻んだヘビの報い
どんな伝承か
今から二〇年ばかり前のことだという。逆巻温泉の人で武政という、語り手と同級生の男がいた。上結束の学校へ通っていた仲である。その人が逆巻から清水川原のほうへ行ったところ、大きなヘビがいたので退治したらしい。自分で鉈を使って細かく刻んだところ、ヘビを害したせいで鉈の刃はすっかり欠けてしまった。片づけて家へ帰ると、その晩から病気になり、一週間も一〇日も寝込んだ。死ぬときには体中がヘビのこけら、うろこのようになっていて、ヘビのおかげで命を取られたのだという。人間の息を先にかければよいが、ヘビの息を先に嗅ぐと髪が抜けるとか命を取られるとか、よく言われた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。