姿を見られて土手を切った田溝池の大蛇
どんな伝承か
六助池の上手には中池と大池のため池があり、いちばん上の大池は田溝池とも呼ばれる。昔、松岡の桶屋か大工が草刈りに来て、この池の大蛇を目にした。昼間に姿を見られた大蛇は怒って土手を切って逃げ、田溝池と中池の水があふれて死人が出、家々が流され、町まで水につかった。その沢は今もジャヌケと呼ばれ、大蛇を見た人の一家はその後みな死に絶えたという。奥の慶弘寺の過去帳にもそう記されると伝わる。下って昭和五年五月の夜にも土手が切れ、水が六助池の土手を越えて町へ流れ下り、大きな被害を出した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第3巻 3 (中信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第3巻(三) 中信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち中信地方の巻から、伝説の章を抜き出したものである。木・石・水・塚・坂と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌などに分けて、松本・塩尻・安曇野・大町・北安曇・木曽に伝わる言い伝えを短い条で並べる。抜き出しの際に多くの条から採集地の表示が落ちており、土地の名が本文に書かれない条も少なくない。