大火の濡れ衣で殺された二人の呪い
どんな伝承か
昔、岩船で大火があり、風にあおられた火が町の大半を焼いた。家を失った人々の間に放火だという声が上がり、悲しみは怒りに変わった。人々は町外れのむしろ小屋に住む四国丸亀生まれのきそうべえと、近くにいたなこという男女の物乞いを引き出し、罪もない二人を町中引き回して石や棒を浴びせ、町外れの深沢という松林に生き埋めにした。二人は息絶える前、調べもせず無実の者を殺す岩船を末代まで呪い、五十年百年ごとに大火で灰にしてやると睨んだという。深沢はのちになこ沢と呼ばれ、戦後に有志が供養塔を建てて二人を慰めた。
原典より
火は風にあおられて燃え広がり、マチの大方を焼き尽くした。—— 村上市史 民俗編 下巻(村上市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村上市史 民俗編 下巻(村上市史)
『村上市史 民俗編 下巻』は、新潟県村上市の市史の民俗編から、口承の節(伝説・世間ばなし・謎とことわざ)を抜き出したものである。地名・神社・寺や仏・地蔵・水・人・動植物・塞の神・杖の跡に分けた伝説と、狐や河童、火の玉、山の神などの世間ばなしを、土地の言葉の語りのまま採集地を添えて収める。義経が跳び越えた一跳山、三面川の小助島、岩船の大火など、村上市内の土地に結びついた話が中心である。