見捨てた溺死者の怨霊と角違の火事
どんな伝承か
角違は昔から火事の多い所で、藩政時代から十数度も火事があったという。そのわけとして、こんな話が伝わる。昔、角違と川内町戸沢の境は戸沢の寺の少し手前の川沿いにあった。いつのころか、大風の翌朝、浜に船の破片とともに男の溺死体が打ち上げられた。当時の下北では、浜に上がった遺体は村人が銭を出し合って供養し、無縁墓地に葬る決まりだった。ところが角違の人々は忙しさと出費を惜しみ、ここは戸沢の浜だと言い張って放っておいた。見かねた戸沢の人々が自分たちの墓地に葬ったが、それから角違に火事が続くようになり、放置された死者の怨霊のせいだと言われる。境が角違寄りに移ったのもこのときからという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。