神楽をのぞいて馬に蹴られた男
どんな伝承か
関根には、名子平の早助、根子木のネン子、赤坂の松子、ビッケのビッ子という人を化かす狐がいて、昔から恐れられていた。名子平の昔の屋敷跡は狐の巣だった。まだ汽車もバスもなかったころ、関根のある男が田名部の町で用を済ませて歩いて帰るうち、すっかり夜になった。名子平の辺りまで来ると、大きな建物に明かりがともり、にぎやかな神楽の拍子が聞こえる。こんな時刻にどこで神楽かと板塀の隙間からそっとのぞくと、いきなり正面から強く蹴られてひっくり返った。起き上がってみると、放してある馬の尻をのぞいていて蹴られたのだった。これが名子平の早助のいたずらだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。