草を刈られた狐の仕返しの声
どんな伝承か
今はもう亡くなったが、高梨のある爺さまは、太平洋戦争のとき旧海軍が掘った防空壕の跡に狐の親子がすみついたのを知り、ある朝鎌を持って行って、見通しがよくなるよう穴の周りの草をすっかり刈ってしまった。家に戻って座敷で昼寝をしていると、入口の戸ががらりと開いて、こんにちはと声がする。また物売りかと面倒がって寝たふりをしていたが、何度も呼ぶので仕方なく出てみると、戸は閉まったままで誰もいない。外に出ても人影はなかった。朝に狐穴の草を刈ったので、狐にいたずらされたのだろうという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。