田小屋で桟を鳴らす狐
どんな伝承か
高梨では田植えのころ、田小屋に泊まりこんで夜中に水の加減をする習わしだった。ある年、部落総代の山田さんが夜中に自分の田を見回っていると、近くの田小屋の爺さまが褌一つで闇に向かって石を投げていた。訳を聞くと、小屋で寝ていると水路の板を止める桟がかたんと落ちる音がする、出てみると何事もなく桟もそのまま。戻るとまた音がする。何度か繰り返すうち、今度は小屋の板塀に何かが体をこすりつける音がした。正体を見てやろうと戸口で待ちかまえ、音がした瞬間に戸を勢いよく開けると狐が飛んで逃げたので、追いかけて石をぶつけていたのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。