棟上げの夜に開く玄関の戸
どんな伝承か
明治三十年代のこと、宇曽利川の竹の家と呼ばれる佐々木有寿の家を新築したときの話である。昔は、棟上げが済んだ家を空にしてはならない、必ず人が入っているものだという言い習わしがあり、その家の爺さまが一人で泊まっていた。ある真夜中、馬の鈴の音と馬方の歌声が聞こえ、こんな夜更けにとうとうとしていると、突然玄関の戸ががらりと開く音がした。飛び起きて出てみると戸は閉まったままで誰もいない。寝直すとまた戸の開く音がするので、泥棒かと刀を差して出たが、やはり誰もいなかった。これもマジャガのマン子のいたずらだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。