一本杉の狐に押された米車
どんな伝承か
大湊の山々にも昔は狐が多く、今の大湊小学校前にある一本杉にもいたずら狐がいて、昼間でもよく化かされたという。大正のころ、大湊町の米屋の息子が大八車に米一俵を積んで、真っ昼間に一本杉の前を通りかかると、突然横から何かに押され、車ごと海へ転げ落ちた。見ていた人も何人かいたが、杉のそばには誰もいなかった。売り物の米を台無しにした息子は帰って父親に叱られたが、例の狐のしわざとわかって、それきりになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。