山中で笑う女の子と同じ場所
どんな伝承か
二十年ほど前、田名部の婆さまたちが連れ立って石蕨へワラビ採りに出かけた。一人が魚の干物を持っていた。山を歩いていくと、五、六歳くらいのかわいい女の子がにこにこ笑って立っている。こんな山の中にどこの子かと言いながら進むと、また同じ所へ出て、さっきの女の子が笑っている。別の方へ向かっても、やはり女の子の立つ場所へ戻ってしまう。こうして一日じゅう歩き回り、暗くなるころようやく東通村の上田屋の道路に出た。上田屋の人に声をかけられて初めて我に返り、田名部へ帰ってきたという。干物欲しさの狐に一日引き回されたのだろうという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。