馬が見破った狐の幻の演習
どんな伝承か
太平洋戦争中のこと、東通村上田屋の総代が、公用で来ていた役場の職員を馬車で田名部まで送った。帰りは品の木道がぬかるんでいたので少し遠回りの最花道を通り、途中で最花の知人に呼び止められてごちそうになり、夜になってから家を出た。最花と田屋の間にさしかかると、演習でもしているのか号令の声や人のざわめきが聞こえてくる。同時に馬がいなないて前足を上げ、どうしても進もうとしない。なだめながら開墾まで来ると、下田屋の若者たちに出会ったが、演習など何もないという。狐が総代をだまそうとしたが、馬に騒がれてしくじったのだろうという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。