尾が二股の猫を殺した森山家の祟り
どんな伝承か
九州豊前の士族森山某は播州揖保郡網戸村のうち那波野村に住み、釣りを好んだ。ある日、陣場山の下で釣った鯛を茶屋川に生けておくと野良猫が食っていたので、刺身包丁で刺し殺した。持ち帰った猫の尾は二つに裂けていた。その夜、妻お玉は俄に腹を痛め、生まれた娘玉枝の横腹には大きな傷痕があった。以後、生まれる子が誕生日の夜ごとに消え失せた。訪れた八十過ぎの六部が読経すると玉枝は顔色を変え口を裂いて飛びかかり、押さえられて煙のように消えた。玉枝は九年前に殺された猫の化身で、報復に子を奪っていたのだという。夫婦は六部の弟子となり高野山で生涯を送った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化と幽霊 怪談揃ひ(大文館編輯部(編纂))
『お化と幽霊 怪談揃ひ』は、播州を中心に摂津・淡路・大阪・神戸の怪異を集めた怪談集である。神戸のチャブ屋に残された下女の片足の靴、明石の坊主橋に出る按摩の怨霊、西瓜に浮かぶ女の顔、淡路洲本の白壁物語、西宮のねてこが池の怪などを、地名と人名を挙げて講談調で語る。三十余りの話を並べ、天保や明治九年の出来事とする話のほか、寄せられた原稿によるとことわる話も含む。