遺骨の真上で寝てハカゼに当たった婦人
どんな伝承か
高知県中村市(現四万十市)に住む三十三歳の婦人が、一九六〇年ごろ急に三九度五分の高熱を出した。医者にかかっても原因が分からず、実家のあるU部落の太夫にみてもらうと『ハカゼがうてとる』と言われた。中村市のD神社の神官に祓ってもらうと治った。後で分かったのは、彼女が間借りしていた部屋の階下で人が遺骨を祀っており、それと知らずその上で寝ていたためだという。この遺骨の死霊が憑いたとされた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの(吉田禎吾・民俗・憑きもの研究・1972年(昭和47年))
『日本の憑きもの』は、吉田禎吾が一九七二年に著した人類学の研究書である。キツネ・イヌガミ・オサキなどの憑きもの信仰と、それを家筋で伝える憑きもの筋を、島根・高知・大分などの村での調査事例と古記録をもとに取り上げ、アフリカやヨーロッパの邪術・妖術と比べて論じる。三章立てで、憑きものの正体と特色、憑きもの筋の形成と伝播、憑きものが村落社会で果たす働きを順に述べ、注とあとがきを付ける。