酸漿のように赤い顔の提灯小僧
どんな伝承か
仙台の堤通りの東横丁、北七番丁と北六番丁の中ほどでのこと。数年前から時々あったというが、雨の夜などに提灯を提げて南へ下って行くと、十二、三歳の小僧が小提灯を持って前になり後ろになりして歩く。ふと振り向いたその顔は酸漿のように真赤なので、思わずぎくりとした。小僧は北一番丁の行き当りのあたりで消え失せてしまった。そこは以前、富岡十之介の屋敷であった。十之介は正徳年中七月十五日の夜、妻を町の盆火見物に連れて行き、帰宅するとどういうものか乱心して、井戸のあたりで妻を斬り捨ててしまった。それ以後、夜更けにそのあたりで妖火が燃え上がり、界隈の評判になったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ)
『宮城県史 民俗編』は宮城県の県史の民俗編で、ここに収めるのは茂木徳郎が執筆した章「妖怪 幽霊」である。山・道・木・水・海・雪・家など出現の場所による分類に沿って妖怪変化を論じ、幽霊とヒトダマ・死霊・生霊の観念を考えたうえで、県内の妖怪・幽霊・動物変化の伝承を郡・町村名を添えて集める。序説・本論・事例篇・参考の順に並び、序説では昭和二十四年の迷信調査と昭和三十年のNHK仙台中央放送局の調査にも触れる。