初夜権の床で息絶えた舅と嫁
どんな伝承か
昔は地方によって「初夜権」と称する婚礼の悪習が行われた所があり、宮城郡花巻ヶ浜という土地でもその奇習が行われていたという。嫁が輿入れすると、まず婿の父または媒介の男が一応その嫁と同衾し、そののちに祝言の盃を交わすというものであった。明治十六年、水島治右衛門の息子治作(十八)に、同村の大内某の娘おとみ(二十二)を貰う約束が調い、一月二十四日の夜に婚姻の式を行った。例によって宴席の次の間に衾を設け、屏風を立てまわした中へ新婦を誘い、父治右衛門が入って一寝したのが宵の九時ごろであった。暁の二時になっても二人は出て来ず、治作が屏風を開けて夜具をまくると、二人はすでに息絶えて五体も冷えていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方編著・日本怪奇集成・昭和初期(推定昭和2-3年))
明治・大正・昭和の怪奇譚(日本怪奇集成)/生首と幽霊の怪/狐狸のいたずら/怪盗と世相の怪異/各時代の不思議な事件