笑うと海月のように崩れる奇病の女
どんな伝承か
長崎県佐世保市外山口村の石瀬たい(仮名、二十七歳)は、大正十年の夏ごろから電線などの静止物をじっと見つめていると突然全身がグニャリと海月のように利かなくなる発作に見舞われるようになった。その後発作は変化し、笑った瞬間に同じ症状が起こるようになり、大阪や神戸、福岡の病院を巡っても治らなかった。海軍共済会組合佐世保病院で診察を受けたが、筋無力症とも異なる世界でも珍しい奇病として、病名さえつけられなかったという。
原典より
当時海軍共済会組合佐世保病院で、不思議にも、笑う刹那に全身がグニャリと海月のように利かなくなる珍しい病人が診察を受けた。—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。