飼犬が嗅ぎ出した旧家の埋蔵金
どんな伝承か
香川県綾歌郡の西庄村に、昔は庄屋をしていたという三好某の旧家があった。前年の春、主人が屋敷の周りに土塀を築こうと人夫に溝を掘らせていると、飼犬が溝の中で盛んに吠えて土をかきほじる。不審に思って掘らせると土瓶が現れ、蓋を取ると昔の金銀貨がぎっしり詰まっていた。明治初年の十円金貨百四十二枚、慶長の大判小判五百枚である。まるで花咲爺の奇譚であった。瓶は明治の初めに亡くなった老婆が縁の下に埋めたものだった。京阪の古銭屋が買いに来て、一万三千円で買い取られたという。
原典より
なかからは明治初年の十円金貨が百四十二枚、慶長大判小判が五百枚も出て来たので、いまさらのように驚くとともに、それを教えた飼犬の不思議さにも驚異を覚えたのであった。—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。