丸の内の御所前でさかさまに走る自動車
どんな伝承か
昭和九年の談話会で、蜃気楼のことを問われた寺田寅彦は、ごく身近な例を挙げた。近ごろは道路がアスファルトで固められたので、夏などに丸の内の御所の前を通りかかると、走っている自動車が上下さかさまになって動いて見えるのだという。
原典より
この頃は道路がアスファルトになったから、夏など丸の内の御所の前を通ると自動車が逆さまに動いているのが見える。—— 怪異考 - 化物の進化(寺田寅彦) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪異考 - 化物の進化(寺田寅彦)
『怪異考 - 化物の進化』は、物理学者寺田寅彦が大正九年から昭和十二年にかけて雑誌・新聞に書いた随筆と談話を集めた本である。土佐の「孕のジャン」や濃尾のギバを地鳴りや空中放電で説く「怪異考」、昔の人が化物を自然現象の説明に用いたことを論じる「化物の進化」のほか、人魂、狸の腹鼓、厄年、夢判断などを科学者の目で語る。各篇の末尾に初出の年月と掲載誌名を記すが、「狸の腹鼓」だけは「単行本未収録」とのみ記す。