至誠殿の御宝石はラムネの玉だった
どんな伝承か
大がかりな詐術で世間を欺いた例に、のちに六年の刑を受けた「巣鴨の神様」岸本可賀美の事件がある。読売新聞の調べによれば、岸本はもと天理教の教師で、ある稲荷神社の神主のもとにいたころ、その神主が臨終に口走った予言めいた言葉を速記し、「お口先」と称して信者に崇めさせたのが始まりだという。岸本が開いた天然社の至誠殿には、金紐と金無垢の金具をあしらった桐の三重箱に納めた「御宝石」があり、病を癒す霊力を持つと吹聴されていた。だが岸本の拘引後、帝大の地質学教室が調べたところ、それはラムネの玉であった。曇って傷み色も変わっており、岸本自身も正体に気づいていなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊現象の科学(小熊虎之助・大正期(1912年頃推定))
心霊現象の科学的検証(小熊虎之助)/詐欺事件と夢のお告げ/幻覚・錯覚の心理/暗示と変態心理/迷信打破と科学的態度