通夜のマッチが招いた焼死
どんな伝承か
山形県天童地方の佐藤家で当主が死に、通夜が営まれた。そこへ親類の藤五郎という者が来た。藤五郎は煙草好きで、しきりに煙を吐いていたが、持っていたマッチが尽きたので、仏壇の燈明をあげるためのマッチを使い、そのまま袖に入れて何の気もなく持ち帰ってしまった。家に戻ってまた煙草に火を付けると、その火が頭の髪に燃え移り、藤五郎は焼け死んだ。死者の家から火種を持ってくることは死霊を呼ぶことと同じであり、火は忌むべきものだという。これを死火といい、産室にまつわる生婦火と同じ穢火というべきものだと説かれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・昭和中期(1977年頃))
ザシキワラシ(座敷童子)と福の神(怪談の世界)/遠野・東北の怪異伝承/家運の盛衰と怪音/妖怪と幽霊譚/山田野理夫の怪談採集