荒倉山に流された鬼女紅葉
どんな伝承か
伴笹丸が京から奥州会津に下り、菊世という女と結ばれて承平七年十一月に呉葉が生まれた。呉葉は幼いころから悪知恵が働き、十六歳で若者をだまして百両を手に入れると、その金で京へ上って紅葉と名を改め、作法や琴を身につけた。やがて源経基の妻妾となったが、経基の正妻を亡き者にしようとした企てが露見し、信州戸隠山のふもと荒倉山の粗末な家へ流された。幼い経若丸を抱えて暮らしに窮した紅葉は鬼女となり、お万らの手下を集めて一帯を荒らしたが、信濃守平維茂に退治されたという筋である。
原典より
ここで鬼女となり、さらに手下にも鬼女のお万などが集まり、ここら一帯を荒らし回った。—— 怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年))
『怪談の世界』は、山田野理夫が昭和五十三年に著した怪談の研究随筆である。遠野での佐々木喜善と柳田国男の出会いから説き起こし、家・山・木・石・道・水・火に現れる妖怪、憑き物、鬼と天狗、生霊・死霊・幽霊の話を、著者の聞き書きや各地の民俗資料、古典・芝居から集め、沖縄の話で結ぶ。章立ては江馬務と柳田国男の妖怪分類を参考にしたもので、民俗学の資料と文学作品の両面から怪談をとらえようとしている。