行灯の油をなめる赤子
どんな伝承か
落語「もう半分」の筋である。もと深川八幡前で八百屋を張っていた老人が酒に身を持ち崩し、娘が吉原へ身を売ってこしらえた五十両を居酒屋に置き忘れる。取りに戻ると夫婦は知らぬ存ぜぬで押し通し、老人を表へ突き出して心張り棒を掛けた。老人は娘に詫びながら永代橋から身を投げる。五十両を元手に店は栄え、女房は女の子を産んだが、その顔は身投げした老人に生き写しで、生まれたてなのに歯が生えていた。女房は血が上って死に、赤子は夜ごと行灯の油をなめては「もう半分」と手を出した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年))
『怪談の世界』は、山田野理夫が昭和五十三年に著した怪談の研究随筆である。遠野での佐々木喜善と柳田国男の出会いから説き起こし、家・山・木・石・道・水・火に現れる妖怪、憑き物、鬼と天狗、生霊・死霊・幽霊の話を、著者の聞き書きや各地の民俗資料、古典・芝居から集め、沖縄の話で結ぶ。章立ては江馬務と柳田国男の妖怪分類を参考にしたもので、民俗学の資料と文学作品の両面から怪談をとらえようとしている。