杉から落ちて笑う十数の首
どんな伝承か
白石城下から米沢へ出る七ヶ宿街道を通りかかった商人がいた。その日は天気がよく足も軽かった。街道沿いの杉林にさしかかると、突然、杉の木からドスンドスンと音がした。杉のてっぺんから男と女の首が落ちてきたのである。その数は十数もあった。首は商人を見ていっせいにゲラゲラ笑うと、そろってすーっと木のてっぺんへのぼり、そのまま消えた。ふと気がつくと杉の木の上には雲が流れているばかりであった。つるべ妖怪という名は、首が下がったり上ったりすることから生まれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年))
『東北怪談の旅』は、山田野理夫が昭和四十九年に編んだ東北地方の怪談集である。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の六県に伝わる妖怪や幽霊の話、飢饉と間引にまつわる話、江戸時代の奇談などを、一番から一六三番までの短い話として収める。各話の末尾に県名を記し、恐山や飢饉の記録にふれて東北の怪談と怨念を結びつけるまえがきと、怪談観や霊能者をめぐる回想を記したあとがきを付す。