網小屋に現れるマン田坊
どんな伝承か
陸前高田の漁師たちが不漁でがっかりして浜に戻ってきた。そんな日は女房どもがうるさいので家に帰るのが嫌になり、網小屋に集まって濁酒を飲んでいた。すると着物に帯を巻かず、前のほうをはだけた女が現れてこう言った。マン田坊、早くしてくれ、マン田坊、早くしてくれ。漁師たちは濁酒をやめ、仕方なくそれぞれの家に帰った。家では女房どもが帯を解いて待っていたという。マン田坊はマンタ棒とも書くらしい。
原典より
七三番 小雨坊寛文十一年というから三百二十余年前に当たる。—— 東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年))
『東北怪談の旅』は、山田野理夫が昭和四十九年に編んだ東北地方の怪談集である。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の六県に伝わる妖怪や幽霊の話、飢饉と間引にまつわる話、江戸時代の奇談などを、一番から一六三番までの短い話として収める。各話の末尾に県名を記し、恐山や飢饉の記録にふれて東北の怪談と怨念を結びつけるまえがきと、怪談観や霊能者をめぐる回想を記したあとがきを付す。