青葉山の麓の屋敷で首を締める腕
どんな伝承か
昭和二十三年の夏、中村四郎は妻の父の持ち家である仙台市内山屋敷の古い大きな屋敷に、新婚で住みはじめた。青葉山のふもとの閑静な郊外で、くるみの大木にリスが来るような土地である。隣家の運転士小林の妻が、夫の夜勤の夜にかぎって長くうなされるので、夫婦で起こしに行くと、男の幽霊が立っていて体が動かなくなったと真っ青な顔で訴えた。それが三晩続いた。八月十四日の夜、本を読んで寝入ろうとした中村の青蚊帳が風もないのに揺れ、電灯が暗くなり、二本のたくましい腕が首を締めて金縛りに遭ったという。
原典より
・臨終間際の姉が夢枕に立った・正装して現われた父の霊・死んでも律儀だった母の魂・あの老婆は死神か・雨の墓地で濡れていた女・わたしが人魂になって飛んでいる・夢物語?・またもや夢の知らせある老人の告白(安岡義祐さんの話)—— お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年))
『お化けについてのマジメな話』は、平野威馬雄が昭和四十九年に著した幽霊とお化けをめぐる随筆である。自ら主宰する「お化けを守る会」に寄せられた体験談や、大阪の毎日放送のラジオ番組で聴取者が電話で語った話を軸に、前世や霊媒・降霊実験など海外の心霊研究、井上円了の妖怪論、古い記録に見える犬神などの憑きものを取りあげる。体験談から死後の世界、お化けを呼ぶ方法、昔のお化けへと進む八章立てで、巻末にあとがきを置く。