夜釣りの帰りに土手で出会った禿
どんな伝承か
雪踏屋忠兵衛という町人が、友人二人と連れ立って夜釣りに出かけ、夜半過ぎに帰る途中、道の土手で禿の姿をした子に行き会った。その顔をよくよく見た三人はあわてふためき、震えながら逃げ出した。走る途中で釣り竿が紺屋のところで何かに引っかかると、これも化け物の仕業だと思い込み、竿を引きちぎって逃げたという。恐ろしくもあり、またおかしくもある話だと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
岩邑怪談録(広瀬喜尚(増補:今田純一/続録・編:藤田葆/付録:静間密/昭和版編集:宮田伊津美)・1976年(昭和51年))
『岩邑怪談録』は、岩国藩士広瀬喜尚の怪談録に後人の増補と続録を合わせ、岩国徴古館が昭和五十一年に発行した資料集である。岩国周辺で人々が出会った化物・大坊主・生首・怪火・狐狸・天狗倒し・幽霊などの話を収め、藤田葆が編んだ『岩国沿革志』のうちの二冊を底本に、なるべく原文のまま新字に改めて載せる。広瀬の本録に、今田純一の追加、藤田の続怪談録と実事談・変死、静間密の付録五話を続け、巻末に語注を付す。