熱海の離れでの幽霊体験
どんな伝承か
作家の三浦朱門とその友人は、熱海の竹藪に囲まれた陰気な旅館の離れに泊まった夜、足元に後ろ向きの人影を見る同じ夢を二度ずつ見て、「ここで自殺した」という嗄れ声に苦しめられた。互いの体験を語り合い、翌朝には原因不明の高熱に見舞われた。半月ほど経った深夜、見知らぬ青年から電話があり、先週この旅館で同じ怖ろしいものに遭ったと告げられた。旅館の名は誰にも明かしていなかったため、二人はこの怪異が自分たちだけの錯覚ではなかったと確信した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ)
『私は幽霊を見た――現代怪談実話傑作選』は、東雅夫が編んだ怪談実話のアンソロジーで、メディアファクトリーのMF文庫ダ・ヴィンチの一冊である。平山蘆江・火野葦平・佐藤春夫・徳川夢声・遠藤周作・柴田錬三郎から石原慎太郎・新倉イワオ・稲川淳二まで、作家や文化人が自ら見聞きした幽霊や怪異を書いた文章を集める。目次には二十三篇と編者解説が並び、水木しげる・山田野理夫・桝井寿郎の座談「怪談詮議」や中岡俊哉「イタコの謎を追う」の抄録も含む。