向こう岸で招く美しい女と冷たい川
どんな伝承か
長野県飯田市の四十五歳の男性が、工場での事故で大ケガをした。病院で生死の境をさまよっていたとき、きれいな川が流れていて、向こう岸で美しい女性がしきりに手招きをしているのが見えた。渡ろうとして川の中に足を入れたが、あまりに冷たくてどうしても渡ることができない。女性に「そちらへ渡ると、まだ悲しむ人がいるから渡れないんです」と告げると、そこでふっと目が覚めたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。