松原街道の橋で行く手を遮られる
どんな伝承か
土淵村の瀬川繁治という若者は、急な腹痛でしばしば気を失った。十年ほど前にもそうなり、息を吹き返してから、恐ろしい目に遭ったと語った。松原街道を急いで歩き、立派な橋にさしかかったところ、唐鋤を手にした小沼寅爺と駐在所の巡査が二人がかりで行く手をふさぎ、通してくれないので引き返してきたのだという。この若者は今ではすこぶる達者である。佐々木の曾祖父も同じように気を失ったことがあり、広い街道を進むと大橋があって、その先に石垣を高く積んだ立派な寺が見えたと、蘇生後に語ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。