桑畑の帰り道に迫った死の気配
どんな伝承か
長野県南佐久郡川上村の話。話者の兄の妻が東京の病院に二年ほど入院していた。ある晩、当時十六、七歳だった愛太郎という若者が番頭と連れ立ち、裏手の桑畑へ小便桶を担いで出かけた。帰り道、何かに後ろから追われているようで恐ろしくてたまらず、番頭に「おまえ後になれ」と頼んで先に立って戻ってきた。翌日この出来事を祖父に話すと、祖父は「おわいは死んだなあ」と言った。おわいとは話者の兄の妻のことで、実際にその頃、彼女は本当に亡くなっていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。